エスカレーター問題(2020年度 青山学院中等部 大問9)
今回は2020年度の青山学院中等部の入試問題から、大問9を解説します。 苦手な人もたくさんいるであろう「エスカレーター問題」ですね。
問題文は以下の通りです。
兄と弟はエスカレーターに乗ってホームのある階から改札のある階まで移動します。 兄が5段歩いて上がる間に弟は3段歩いて上がると、兄は50段、弟は40段歩いたところで改札のある階に着きました。エスカレーターの段数は___段です。
これから解説を進めますが、解説の前にまずは一度自分で解いてみてください!
(解説の前に)エスカレーター問題は差がつく1題
2020年の青学の入試問題は14個の大問があり、基本的には後ろに進むにつれて順番に難しくなっていく構成でした。 その中でもエスカレーター問題はなかなか解く機会がない問題なので、「今まで解いたことがあるかないか」が正解・不正解を分ける問題だったかもしれません。
エスカレーター問題がなぜ難しいかというと、速さが2つ同時に存在するからです。 ひとつはエスカレーター自体の速さ、もう一つはエスカレーターに乗る人の速さです。今回の問題は特に乗る人が2人(兄と弟)いるので、2人の比も合わせて考えないといけないのが大変さを増していた要因だったと思います。
では、解説を始めます。
全ての段数=歩いた段数+エスカレーターが進んだ段数
まずはみなさんの最寄り駅にあるエスカレーターを想像してみましょう。 もしエスカレーターが止まっていたら、悲しいことにそのエスカレーターはただの階段と同じで、全ての段を歩いて上がらないといけませんね。 つまり、エスカレーターの全ての段数=あなたが歩いた段数になります。
次にエスカレーターが動いていた場合は、あなたが歩いた段数は本来の段数よりも少なくなります。 例えば、本来の段数が25段だったとすると、あなたが実際に歩く段数は15段くらいになってるはずです。 もちろん「エスカレーターの段数が15段に減ったんだ!」なんて魔法みたいなことは起こってなくて、25段のうち10段分の距離をエスカレーターが代わりに進んでくれたから段数が減ったように見えています。
したがって、
全ての段数=あなたが歩いた段数+エスカレーターが進んだ段数
という関係が成り立ちます。
エスカレーターが進んだ段数は「時間」に比例
次に、エスカレーターが進んだ段数ですが、これは必ず時間に比例します。
エスカレーターにじっと乗っていれば、時間がかかる代わりに1段も自分で歩く必要がないですよね? 逆に、自分で一番下から上まで歩くと、たくさん歩かないといけない代わりに早く着くことができるわけです。
エスカレーターの全ての段数はあなたが1歩も動かなかろうとたくさん歩こうと同じわけですから、たくさん歩くことはそれだけエスカレーターが進む段数は少なくなることを意味します。 ここから、あなたがエスカレーター上でたくさん歩いて早く進むほど、エスカレーターが進む段数は少なくなります。
このルールを言い換えると、
「兄と弟の時間の比=エスカレーターが進んだ段数の比」
になります。
解答
ここまでの基本知識を踏まえて、いよいよ問題を解いていきます。 基本方針は以下の通りです。
- 兄と弟の進んだ時間の比(=エスカレーターが進んだ段数の比)を求める
- 兄と弟が歩いた段数の差は10段なので、エスカレーターが進んだ段数の比から実際にエスカレーターが進んだ段数を求める。
では、兄と弟の進んだ時間の比を求めていきます。 このとき、「速さ比 × 時間比 = 距離比」の性質を使います
| 兄 | 弟 | |
|---|---|---|
| 速さ比 | 5段 | 3段 |
| 時間比 | 50÷5=10 →③ | 40÷3=40/3 →④ |
| 距離比 | 50段 | 40段 |
上の表から、時間比は
(50÷5):(40÷3)= 3 : 4
となり、エスカレーターが進んだ段数の比も、兄:弟 = 3 : 4です。
ここで、エスカレーターの全ての段数は兄と弟の間でも常に同じなので、
50段+③=40段+④
となり、① = 10段とわかるため、
50 + 10 × 3 = 80 (段)
が正解です。