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2021年度・洛星前期

この記事では、洛星中学校の2021年度前期入試の問題を解説します。

ランク表

受験者平均点が120点満点中68.4点であり、およそ6割弱でした。前年度の受験者平均点が78.3点であることを考えると難化したと考えるのが妥当です。合格者平均はおそらく6割前半~中盤位と予想されます。大問5の平行移動の難易度が全体的に高いこと、大問6の作業量が比較的多めなことを考えると、大問4までをミスなく得点する力が要求される年度だったといえます。

※各問題のランクは以下の通りです

  • A: 確実に正解しておきたい
  • B: ここで差がつく問題(少しでも正解できると良し)
  • C: 捨て問(本番では適当に答えを書いて飛ばしてもOK)
大問番号小問番号大カテゴリ小カテゴリランク備考
1(1)計算A
1(2)計算A
1(3)計算A
2(1-ア)文章題ニュートン算A
2(1-イ)文章題ニュートン算A
2(2)立体図形回転体の体積A
3(1-ア)速さ遅れた時計A
3(1-イ)速さ遅れた時計B
3(2-ア)平面図形相似の利用A
3(2-イ)平面図形相似の利用B
4(1)速さ旅人算A
4(2)速さ旅人算A
4(3)速さ旅人算B
5(1)平面図形平行移動A
5(2)平面図形平行移動C
5(3)平面図形平行移動B
5(4)平面図形平行移動C
6(1)数の性質操作回数A
6(2)数の性質操作回数B
6(3)数の性質操作回数C

各大問の講評

大問2

(1): 典型的なニュートン算でした。水槽の半分の水量を式で表すと、

水槽の半分 = (ポンプ1台 - 入れる水) × 10分 = (ポンプ2台 - 入れる水) × 4分

となります。ここで、積が等しいときは逆比を利用することができるので、

(ポンプ1台 - 入れる水) : (ポンプ2台 - 入れる水) = 2' : 5'

という関係が成り立ちます。したがって、ポンプ1台の排水量は3', 入れる水は1', 水槽全体の水量は40' と出すことができます。

(2): 見取り図を描くと、半径3cm, 高さ5cm の円柱から円すい台を除いた立体になることが分かります。計算量は多いので簡単とまでは言えませんが、洛星に合格することを考えるならこの問題は必ず正解しておきたいですね。特に円すい台の体積を求めるときに、相似比をうまく活用したいところです。また、解き進めると最後の体積が34.5 × 3.14となるのですが、この計算を以下のように工夫して解くと楽できます。

34.5 × 3.14
= 69 × 3.14 ÷ 2
= (70 × 3.14 - 3.14) ÷ 2
= (219.8 - 3.14) ÷ 2
= 216.66 ÷ 2
= 108.33

大問3

(1): ①の条件を参照すると、正午からAの時計が14:15になったとき、Bの時計では14時ちょうどになったと書いてあります。すなわち、Aが135分(2時間15分)進んだときにBは120分(2時間)進んでいるため、進んでいる時間の比は

A : B = 135 : 120 = 9 : 8

となります。同様の条件を②③にも適用して考えていくと、時刻や進んだ時間を求めることができます。

(2-イ)

rakusei_zenki_2021_3(2)

まず、斜線部(問題ではグレーの部分ですが、赤い部分もグレーの部分と合同なので、赤い部分で考えても問題ないです)の3つの三角形は全て相似な関係になっているので、相似比を考えます。縦の長さが左から2cm, 4cm, 6cm となっていることから、相似比は 1 : 2 : 3, 面積比は 1 : 4 : 9 です。

ここで、⑨の面積は底辺が 6cm, 高さが 5cm の三角形なので 15㎠ となるため、全体の面積は

15 × 14/9 = 70/3 ㎠

が正解となります。

大問4

「うわ……動く歩道やん……」と見せかけつつ、実際は途中で速さが変わるだけの旅人算に過ぎない問題でした。この問題も例年の洛星の速さと同じく、速さと比の関係を活用することで解けます。速さと比の関係は次の表のようになります。

同じになっているもの比の関係
速さ距離比 = 時間比
時間距離比 = 速さ比
距離速さ比と時間比は逆比

この大問では太郎と次郎が常に同じ時間進んでいる区間を探して、進んだ距離の比 = 速さの比 の関係をその区間に適用してあげると、距離や速さを求めることができます。

大問5

限られた時間の中で正確に作図する力が求められる問題でした。特に(2)(4)の釘が刺さっている問題は、正方形のタイルが釘の上と右の2か所でぶつかるケースを考慮しないといけないので、作図の難易度が高かったと思われます。したがって、短時間で高得点を狙うためには、釘が刺さっていない(1)(3)を手堅く得点することを考えるほうが賢い選択だったといえるでしょう。

大問6

一番最後にして最も計算量の多い問題です。おそらく大問5までで時間を相当使っているため、大問6を全て解くほどの時間が残されていない受験生が多かったと予想されます。特に(2)は全て調べるのが最短ルートの問題なので、残り時間次第では(1)だけ確実に正解して、(2)(3)を両方とも飛ばしてもOKです。