2022年度・洛星前期
この記事では、洛星中学校の2022年度前期入試の問題をざっくりと解説します。
ランク表
受験者平均点が120点満点中77.1点であり、およそ6割5分程度でした。前年度の受験者平均点が68.4点であること、受験者平均でさえ6割5分を必要とすることを考えると易化したと考えるのが妥当です。合格者平均はおそらく7割前半~中盤位と予想され、最高点が120点満点だったことも考慮すると8,9割得点している受験生も少なくなかったのではないかと予想されます。
※各問題のランクは以下の通りです
- A: 確実に正解しておきたい
- B: ここで差がつく問題(少しでも正解できると良し)
- C: 捨て問(本番では適当に答えを書いて飛ばしてもOK)
大問番号 | 小問番号 | 大カテゴリ | 小カテゴリ | ランク | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | (1) | 計算 | A | ||
1 | (2) | 計算 | A | ||
1 | (3) | 計算 | 時間の単位 | A | |
2 | (1) | 比と割合 | 比合わせ | A | |
2 | (2) | 平面図形 | 転がり移動 | A | |
3 | (1-ア) | 比と割合 | 食塩水 | A | |
3 | (1-イ) | 比と割合 | 食塩水 | B | |
3 | (2-ア) | 立体図形 | 水問題 | A | |
3 | (2-イ) | 立体図形 | 水問題 | B | |
4 | (1) | 速さ | 旅人算 | A | |
4 | (2-ア) | 速さ | 旅人算 | A | |
4 | (2-イ) | 速さ | 旅人算 | B | |
4 | (3) | 速さ | 旅人算 | C | |
5 | (1-ア) | 規則性 | 数表 | A | |
5 | (1-イ) | 規則性 | 数表 | A | |
5 | (2) | 規則性 | 数表 | A | |
5 | (3) | 規則性 | 数表 | A | |
5 | (4) | 規則性 | 数表 | C | |
6 | (1) | 平面図形 | 面積の求積 | A | |
6 | (2) | 平面図形 | 面積の求積 | B | |
6 | (3) | 平面図形 | 面積の求積 | B | |
6 | (4) | 平面図形 | 面積の求積 | C |
各大問の講評
大問1
洛星合格のためには全て正解することが必須の問題です。
(3): この手の問題に出会ったときに秒に変換してから計算する生徒さんが多いのですが、秒に変換せずに計算できるようにしましょう。特にわり算をするときですが、カッコの中の計算をすると 6h41分31s = 281分31sとなるので、
281分 ÷ 7 = 40分 ... 1分(60s)
残りの秒数は 60s + 31s = 91sなので、91s ÷ 7 = 13s
と考えると楽に解けます。
大問2
大問2も洛星合格のためには全て正解することが必須の問題です。この問題でわからないところがある場合は、必ず反復して解き直しをし、確実に次は正解できるようにしましょう。
(1): おもり1個をぶら下げたときに表示される重さの比を出せばOKです。BとCではおもりの数の逆比が1個当たりの重さの比になることに気づけば簡単だったのではないでしょうか。
(2): 典型的なおうぎ形の転がり移動です。洛星では転がり移動に限らず図形の移動が毎年出題されやすいので、基本的な図形の移動の作図はかならずできるようにしておきましょう。
大問3
(1): 濃度の具体的な値がわかっていないので、まずは濃度の比と食塩水の比をかけて食塩の重さの比を出しましょう。
(2-イ): 容器をひっくり返しても水や空気の体積は変化しないことを利用します。始めは(ア)で求めた水の体積を使いたいと考えますが、平均の高さ等を使ってもうまく水の体積で考えられないとわかるはずです。その場合、水ではなく空気に注目してあげると体積を求められます。空気の部分は三角形ABCの4/5倍の面積を底面とし、高さがADとなるすい体であり、この体積が36㎤とわかっているので、ここからADの長さを出せばOKです。
大問4
例年洛星では、速さと比の関係を活用する速さの問題が出題されます。速さと比の関係は次の表のようになります。
同じになっているもの | 比の関係 |
---|---|
速さ | キョリ比 = 時間比 |
時間 | キョリ比 = 速さ比 |
キョリ | 速さ比と時間比は逆比 |
この大問ではすべて兄弟が同時に出発し、途中で片方が休むこともなく常に進み続けている状況を前提としています。そのため、兄弟は常に同じ時間進んでいることがわかるため、進んだ距離の比 = 速さの比 であることが成り立ちます。
(2-イ): (1)より兄と弟の速さの比は7:5なので、兄が弟に追いつくまでに進んだ距離の比も7:5とわかるはずです。ここで、2人が進んだ実際の距離を考えます。追いついた地点とBとの隔たりを〇 mとすると、
兄 1260 + 〇 = 7'
弟 840 + 〇 = 5'
と表せます。したがって、2' の違いは 1260 - 840 = 420m に相当するとわかるので、弟の進んだ距離は
5' = 420 × 5/2 = 1050 m
となり、〇 = 210m とわかります。
(3): 初めてすれちがうときに2人がそれぞれ池の周りを何周しているかわからないので、兄がBに戻るときの弟の位置を1周ずつ考えていきます。
兄の周回数 | 兄が進んだ距離 | 弟の位置 | 弟が進んだ距離 | Bまでの距離 |
---|---|---|---|---|
1周目 | 1680m | 1200m | 420mの道路上 | 60m |
したがって、(今回は偶然ですが)兄が2周目に入るタイミングで2人はすれ違うとわかります。そして、2人の隔たりは60mなので、兄は 60m × 7/(5+7) = 35m 追加で進めばすれ違います。よって、兄は最初にBを出発してから、1680m + 35m = 1715m を20分25sで進んだことになりますので、あとはわり算をして速さを計算しましょう。
大問5
1行目が列番号を2回かけた平方数になっていることがわかれば(3)まではできると思います。特に(2)(3)に関しては関係する場所だけを書き出してあげると、ミスなく答えを導けるはずです。(4)は気合で探す問題なので一旦飛ばして、残り時間が10分以上あって見直しが終わっているなら解きましょう。
大問6
(3)までは実際に作図をして、2枚重なっている箇所やどこも重なっていない場所を1つずつ調べていけばできる問題でした。考え方自体は難しくないですが、設問を正しく理解し、ミスなく適切な場所を見つけていくところでつまづく受験生が少なくない問題だったと思われます。
(4): 正方形は45度ずつずらして重なるので、1周するのに必要な枚数は 360度 ÷ 45度 = 8枚 です。そのため、残り3枚が2周目に入っており、1周目の3枚目の位置の上に11枚目が重なっていることが分かります。したがって、(2)で作図した部分のうち、3枚目までで2枚重なっている部分の面積がそのまま答えになります。